2022年度および延長による2023年度は、引き続き1930年代ヴァージニア州に注目して研究を進めてきた。その際に研究成果及び実績として、以下の三点を挙げることができる。 第一に、1930年代ヴァージニア州の州レベルでのカリキュラム改革が、州内の各地域にどのように受容されていったのかを明らかにした。州のカリキュラム政策の地域受容の実態については、先行研究の課題とも言えた。その点について、主に中等教育の観点から、いくつかの地域の地域の教育政策や学校のカリキュラムがどのように変化したのかを、事例を通して明らかにすることができた。この点は、2022年9月24日に実施された教育史学会第66回研究大会において、「1930-40年代米国ヴァージニア州における中等コア・カリキュラムの地域・学校での受容」というタイトルで学会発表を行った。現在投稿論文の審査中である。 第二に、2023年2月に、数年ぶりに米国にて現地調査を行うことができた。その際には、1930年代ヴァージニア州における学校図書館改革とアフリカ系アメリカ人の生徒の様子に関する史料収集を行った。いずれも先行研究において蓄積の少ない領域となっており、今回収集した史料をもとに、2024年度内に学会発表を二件実施する予定にしている。 三点目は、米国社会科教育史に関する方法論的な整理を行なえた点である。2010年代以降の米国社会科教育史の研究方法論に関する動向をまとめる機会を得た。その成果は、2022年10月8日に実施された「全国社会科教育学会 第71回研究大会」において、「「対象として」の米国社会科教育史研究の可能性 -現代実践への直接的寄与を求める論理に抗いながら-」というタイトルで発表を行った。
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