研究課題
本研究の目的は、「子どもの異文化へのアクセス」に着目して多文化共生の観点から社会におけるミュージアムの役割を検証することである。そのため、オンラインで入手できる各館のパブリック・プログラム情報のみならず、どのような意図で該当プログラムをデザインしたのか、実施にあたりどんな困難・手ごたえがあったのかという運用過程を含めてミュージアムの取り組みを立体的に描き出すことを主眼としている。新型コロナウイルスCOVID-19の影響で現地調査が遅れたが、2022年10月に現地に赴きフィンランド国立博物館をはじめ、国立アテニウム美術館、ヘルシンキ市デザイン・ミュージアムの教育普及担当学芸員にインタビュー調査を行った。また、フィンランド国内の少数民族サーミに関する国立博物館シーダ(SIIDA)も訪問し、展示を見学するとともに現地学芸員にヒアリングを実施した。最終年度の本年はフィンランドでの調査結果を交え、多文化共生を実現するためにミュージアムの展示やワークショップがどのように機能するかを検討し、日本デザイン学会第70回春季研究発表大会 および日本社会教育学会第70回研究大会で成果発表を行った。さらに、モノを用いた異文化理解学習の可能性について、国内外の博物館学研究者やアーティストと検討を重ね、研究ノートへの投稿やICOM CECA(国際学会)での研究発表を行った。そのほか、月刊社会教育 (807号) やMIMOCA(香川県丸亀市)の「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 アート・コミュニケーション2023 記録集」に寄稿し、フィンランドのミュージアムの実例を国内に広く共有した。
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すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館アート・コミュニケーション2023記録集
巻: 2023年度報告 ページ: pp.32-35
月刊社会教育
巻: 807 ページ: pp.62-67