研究課題
若手研究
本研究は日本の近代学校における子どもへの罰の構成過程を制度、言説、実践の3つの水準から解明することを目指したものである。研究期間内には退学や停学といった罰が、学校秩序を形成、維持するための儀礼としての意味をもつことを明らかにした。また、学級のなかでおこなわれる叱責が降格儀礼としての意味をもち、教室内の規範や違反事項とは何かを確認することで、生徒たちの集団性を高める機能を担わされていたことを明らかにした。
教育社会学
本研究は、これまで社会学的な視点からの研究がなされてこなかった、近代学校成立期における罰の構成過程を探究するという独自性をもつものである。とりわけ、学校において日常的におこなわれている叱責や罰が、学校秩序や学級集団の形成、あるいは教師の権威性の確立といった点でいかなる機能を果たしてきたのかを問う契機となる研究と考えられる。また児童という存在を学校がいかにまなざし、処遇してきたのかという点において新たな知見を提供できたと考える。