本研究では、地域に開かれた学校づくりと施設の高機能化によって教育の質の向上を図ることできる「学校施設の機能の複合化」の効果を定量的に明らかにすることを目的とした。昨今の新型コロナウイルスの影響により、学校教育の現場において学校の物理的環境(施設・設備)の在り方の再考を迫られる可能性があることから、この影響も考慮しつつ分析を行った。 令和4年度は、前年度に引き続き、所属する国立教育政策研究所文教施設研究センターの研究会への参加とそれを通じた調査研究も踏まえつつ、「(1)文献調査によるデータの収集」「(2)先進事例の収集」を行った。(1)としては、学校施設の複合化の効果を定量的な価値により算出するため、その効果の測定方法の特定と、それを形にした調査票等について、その内容の充実を図った。また、測定を行うために必要となる先行論文の調査、データの収集等を引き続き行った。 (2)としては、学校施設の複合化を行っている地方公共団体や学校開放等を通じて地域利用を進め、地域の生涯教育の充実を図っている学校のうち、協力を得られそうな学校をリストアップし、ウェブ上のホームページや各種報告書、論文等からその運営体制や複合化の経緯、利用状況、運営費、建設費等に関する情報収集を行った。施設管理者や設置者である教育委員会等への対面でのインタビューは一部新型コロナウイルスの影響により困難となったが、所属する国立教育研究所内の学校施設に関する研究会を通じて、メールやオンライン等も活用しつつ、必要なアンケート調査等を行った。 これら(1)、(2)から得られた情報・データを踏まえ、学校施設の複合化の効果について、具体的な分析を行い、結果を取りまとめた。
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