本研究では子どもの身体活動ガイドライン達成に貢献する生活場面を検討することを目的とし,小学生男女を対象に,加速度計で評価した身体活動量と通学場面との関連を検討した。身体活動量は対象者の腰部に加速度計を装着し評価した。自宅から学校までの往復の通学手段と時間については,質問紙を用いて評価した。始業開始の時刻および放課後開始の時刻は担任教諭が記録用紙に記入することで評価し,始業前の身体活動量は午前5時から始業開始までの時間を,放課後の身体活動量は放課後開始の時刻から午後6時までの時間を評価した。自宅から学校までの徒歩通学の時間は,始業前の歩数,始業前の中高強度身体活動との間に有意な正の相関関係が示された。また,学校から自宅までの徒歩通学の時間は,放課後の歩数,放課後の中高強度身体活動との間に有意な正の相関関係が示された。加えて,往復の徒歩通学の時間は始業前と放課後の時間を合わせた歩数,始業前と放課後の時間を合わせた中高強度身体活動,1日全体の歩数,1日全体の中高強度身体活動との間に有意な正の相関関係が示された。これらのことから,通学場面における徒歩通学の時間は,始業前や放課後,1日全体の歩数や中高強度身体活動と関連していることが明らかとなった。 次に,身体活動ガイドライン達成(中高強度身体活動60分/1日)に必要な徒歩通学時間を検討するために,Receiver-operating characteristic分析を行った。その結果,身体活動ガイドライン達成のためには,1日往復で44.5分の徒歩通学時間が必要であることが示唆された。
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