研究課題
若手研究
本研究の目的は,パワーアシストスーツ (機械) を装用することによって,装用者がロボットや機械のように物体として認知されるか検証することだった。本研究の結果,パワーアシストスーツを装用した作業者は,見た目の機械らしさが高く評価されるだけではなく,疲れや痛みのような負の感情を経験しくい対象と認識されることが示された。また,温かみのような対人的な印象も低く評価された。これらの結果は,作業者の性別に関係なく観測された。また,日本人の参加者だけではなく,イギリス人やアメリカ人の参加者を対象とした実験でも概ね同様の結果が観測された。
応用心理学
介護福祉の現場や,肉体労働を伴う作業現場で,身体的負荷軽減やケガ防止等を目的として,パワーアシストスーツの導入がはじまっている。その導入は,筋・骨格系障害のリスクの低減につながることも示されており (de Looze et al., 2016),今後ますます様々な文脈に広がることが見込まれる。パワーアシストスーツ装用の心理的副作用を明らかにした本研究は,パワーアシストスーツの利用拡大にともなう,将来予想される新しい種類の認知バイアス・偏見に関する先駆的な基礎研究となりうる。