研究課題
若手研究
制止や焦燥といった精神運動障害(PMD)は、従来メランコリア(内因性うつ病)の中核的特徴とされ、唯一定量可能な症候である。本研究では、106名の大うつ病性障害の症例を対象として、客観的に観察されたPMDと、伝統的にメランコリアの特徴とされてきた主観的症状との関連を多変量解析によって検討した。その結果、1)感情欠如感、2)抑うつ性妄想、3)当惑感、4)決断困難、5)他人への攻撃性がない、という5つの症状学的特徴が、DSM-5のメランコリア基準の項目よりも、PMDと相関することが示された。
精神病理学
本研究で明らかになった、精神運動障害(PMD)と関連する5項目の主観的症状は、メランコリアを診断するための有用なクライテリアとなる可能性がある。また、PMDと電気けいれん療法の効果の関連は実証されているため、この5項目が電気けいれん療法の良好な反応を予測する指標になる可能性も示唆された。