研究課題/領域番号 |
19K14440
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮島 真貴 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (30779773)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知機能 / リカバリー / 疾患管理 / 臨床研究 |
研究実績の概要 |
本研究は自閉スペクトラム障害の診断を受けている、もしくは疑いのある人を対象に、認知機能改善療法とリカバリー支援プログラムの複合的支援が、症状や認知機能などの臨床的リカバリーのみならず、主観的リカバリーに与える効果を明らかにすることである。この目的を達成するために、無作為化群間対照比較デザインを用いて、介入群には約6ヶ月間の認知機能改善療法(前頭葉・実行機能プログラム)および疾患管理リカバリープログラム(IMR)を実施した。 研究計画通り、補助事業期間1~3年間はデータ収集期間としており、令和元年度においては随時募集および割り付けを行い、上述した複合的介入を実施した。現時点で第1次募集の対象者における介入前後およびフォローアップ評価まで終了しており、第2次募集の対象者においては介入前後の検査を終えている。この時点における介入群の成果として、神経認知機能の改善、および気分状態、自己効力感、リカバリーなどの評価項目においても改善が認められており、対象数は少ないものの複合的支援の成果が得られつつある。一方で神経認知の中では運動処理技能において改善が見られていないことも確認された。 以上の結果から、まだデータ収集段階であり、対象者数が少ないことや対照群との比較段階にないことから明確な成果は得られていないが、複合的支援により、自閉スペクトラム障害者や疑いのある者への臨床的および主観的なリカバリーの改善効果の可能性が予測された。 今後は引き続き介入および評価を実施しデータ収集にあたるとともに、介入群における治療効果について症例報告等を積み重ね成果を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
補助事業期間1年目ではデータ収集が主たる研究内容であった。本研究で使用している介入手段は約6ヶ月の期間を有すること、クローズドグループによる介入となるため、1グループにつき5名程度が妥当であったことから、年間で想定されていた介入対象人数は約10名であった。そして、令和元年度における介入数は9名程度であり、概ね予定通りの進捗でデータ収集が出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2年間ほどデータ収集を主体としていく一方で、症例報告を通した成果の発表も行っていく予定である。 また、研究を遂行する上で以下の課題が抽出されている。1つ目は募集段階において対象者数が少ないこと、2つ目は対照群における評価データの欠落が多いことである。1つ目の課題においては、今までと同様の募集方法を変更せずに進めていき、後ほど述べる介入期間の部分で対応する。2つ目の課題においては、今後無作為化試験とせず、単群試験に変更し、介入成果を抽出していく。 また、研究計画の変更点として、介入期間を約6ヶ月よりも短縮して実施する。これについては研究開始当初より実施しており、当初検討していた介入内容を先行研究に基づき精鋭させた短縮版に変更することで介入期間を短くし、さらにデータ数の増加を促進すると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加がキャンセルとなったことから、旅費使用が予定よりも少なかったため次年度使用が生じた。次年度では今年度参加出来なかった学会への参加の補填、さらには学会参加が難しい場合には症例報告等の論文執筆に伴う英文校正や投稿費に使用し、研究成果をアウトプットする用途に使用する。
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