研究課題
本研究は、生体内の睡眠-覚醒リズム(体内時計)と、外部の明暗サイクルとの間にずれが生じることにより社会生活に支障が生じる「概日リズム睡眠-覚醒障害」のなかでも、慣習上あるいは社会的に許容される睡眠時間帯より通常2時間以上相対的に後退する「睡眠・覚醒相後退障害(Delayed Sleep-Wake Phase Disorder:DSWPD)」に対して、従来の時間生物学的治療に認知行動的技法を加えた睡眠・覚醒相後退障害に対する認知行動療法プログラムを構築し、その実行可能性を検討することを目的としている。今年度は、概日リズム睡眠-覚醒障害患者の抱える問題点を明らかにするために、概日リズム睡眠-覚醒障害患者と診断された患者を対象に、デモグラフィックデータ、日中の眠気や気分、不安、抑うつなどの精神症状、生活の質、日中の活動量、客観指標としての行動計の評価、睡眠状態等との関連についてデータ解析を実施した。また、新型コロナウィルス感染症の感染予防等による制限のため、当初予定していた睡眠・覚醒相後退障害患者やその家族を対象とした調査や介入研究を進めることができなかったことに加えて、研究代表者の年度途中の機関異動に伴い、異動先での新たな研究フィールドの検討や打ち合わせ、研究倫理委員会への申請等を含めた研究遂行の準備を進めることに時間を要した。そのため、今後の新型コロナウィルス感染症の感染拡大等の状況も踏まえ、当初の研究計画の変更、もしくは研究期間の延長も視野に入れている。
3: やや遅れている
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、対象となるDSWPD患者やその家族を対象とした調査が実施できなかったこと、また、申請者の年度途中の機関異動に伴い、研究の進捗が滞ったため「やや遅れている」とした。
今後は、未成年者を含むDSWPD患者を対象として、初年度に作成したプログラムの実施しやすさ、理解のしやすさなどについても探索的にヒアリングしながら改訂を行い、プログラムのfeasibilityを確認する予定である。
新型コロナウィルス感染症拡大の影響や研究代表者の機関異動により、予定していた調査や介入は実施することができなかったため、当初見込んでいた一部の物品費、人件費・謝金を次年度に繰り越すこととした。また、成果発表の機会としていた学会が中止もしくはオンラインでの開催等となったため、旅費の使用計画が当初と異なった。次年度は、調査にかかる人件費・謝金、本研究の解析に関連したPCやソフトの購入、論文発表のための英文校正や出版料に使用する。
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