非線形放物型偏微分方程式の典型例の一つである半線形熱方程式に対し,特異点の位置が時間依存して動いていくような解(動的特異点を持つ解)を構成し,その解の特異点近傍での挙動を特定した.さらに,特異性がどのように失われるかという観点から初期値問題や初期値境界値問題を考察し,解が存在するための精密な条件を与えた.また,fast diffusion方程式と呼ばれる非線形拡散を伴う放物型方程式に対しては,蛇行特異性や異方的特異性といったこれまでに知られていなかった特異解を構成した.加えて,同方程式における特異性の消失現象と,対応する幾何学流における完備性の消失との関連を見出した.
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