研究課題
若手研究
拡散過程と呼ばれる連続的に変化するランダムな時系列モデルに対して、拡散過程自体ではなくその積分値を観測する時に、パラメータを推定する統計手法を研究した。パラメータ推定手法のうち、データ数が十分多い時に推定誤差の分散の最小値を理論的に求め、実際にその最小値を達成する推定量(つまり最も推定誤差が少ない推定量)を構築した。また、従来は困難であった、拡散過程が全方向にランダムに動くのではなく、特定の方向にだけ動くようなケースに対しても最も推定誤差が少ない推定量の理論を構築した。
数理統計学
拡散過程の積分値を観測するモデルは、分子運動の方程式であるLangevin方程式へ適用されて分子運動データから分子特性を解析する上で重要なモデルである。また、金融市場における株価変動の大きさを分析する際にも用いられる。このようなモデルに対して、データが与えられた時により効率的に推定する手法を提案し、その理論的な性質の保証を与えたため、データ解析手法の発展に寄与するものであると考える。