研究課題
前年度に投稿をした、整数量子ホール領域における二重量子アンチドット研究に関する論文がPhysical Review B誌に採択された。本研究は、量子アンチドット間の有効トンネル結合を広範囲に制御することに成功した最初の実験である。また前年度に作製をした、分数量子ホール領域用の量子アンチドット試料を用いて実験をした。試料は、分数量子ホール効果が発現するような高い移動度を持つ二次元電子系基板に、エアブリッジゲートおよびサイドゲートを作製されたものである。エアブリッジには直径300nmのピラーゲートがある。このゲートに負の電圧を印可することで、ピラー直下に量子アンチドットができることが期待される。本年度はこの試料を用いて、希釈冷凍機温度50mKにて電気測定を行った結果、整数領域(占有率2および1)と分数領域(占有率2/3)の領域で、量子アンチドットの形成に成功した。また、整数領域と分数領域のクーロン振動の電圧周期を比較したところ、本実験結果が、量子アンチドット内に閉じ込められている準粒子が分数電荷を有することを示唆することがわかった。本研究は、エアブリッジゲートを用いて、初めて分数領域で量子アンチドットを形成することに成功した最初の実験である。また、本実験結果について、物理学会2024年春季大会にて口頭発表を行った。現在は、本実験結果が再現性があるかを確認するため、異なる設計をもつ量子アンチドット試料を用いて実験中である。
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Physical Review B
巻: 108 ページ: 205147-205156
10.1103/PhysRevB.108.205147
巻: 108 ページ: 075432-075440
10.1103/PhysRevB.108.075432