研究課題
若手研究
本研究ではAu-Al-Yb系Tsai型準結晶における異常金属状態の発見に触発され、これまであまり探索されてこなかった局在-遍歴二重性を示す電子状態を金属中で示すCeのような元素を用い物質探索を行った。主な成果として、新たにAu-Ga-Ce Tsai型1/1近似結晶を発見した。本系は広い単相領域と構造自由度を持っているが、系に対する化学的操作を行ってもスピングラスを基底状態として示すことが明らかとなった。これは、Tsai型の持つ構造自由度が化学的乱れとして働くことに由来すると考えられる。
強相関電子系
準結晶関連物質の磁性研究にて基底状態の変化を引き起こすものとして認識されていた、組成変化による単原子当たりの価電子濃度の変化は、Ceを用いた場合にもその相互作用の強さを変化させうる。しかし、こうした組成自由度が存在する合金的な性質により化学的乱れが起こり、系の磁気秩序形成を阻害することが明らかとなった。そのため、従来磁性系で行われてきた探索指針とは異なる方向性で物質探索を行うことにより、異常金属状態の探索が大きく進むことが期待される。