金星全球を覆う光学的に厚い硫酸雲の時空間変動を,探査機「あかつき」と地上望遠鏡「IRTF」を用いて観測的に調査した.「あかつき」の近赤外画像から導出した雲頂高度は赤道対称構造であり,低緯度では比較的一定だが高緯度になるに従い下降する事が分かった.過去の探査機観測の結果を踏まえると,雲頂高度分布は約10年近く安定している事を突き止めた.「あかつき」が発見した山岳波に起因した定在構造は,雲頂高度にして数百m程度の高度差として表れることを初めて定量的に示した.「IRTF」の近赤外高分散分光装置で取得したCO2吸収線から導出した雲頂高度分布は,「あかつき」で得られた分布を定性的に支持する結果であった.
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