研究課題
若手研究
上空に存在する雲凍結核(氷晶核)の計測を富士山頂にて実施し、そのうちの生物起源粒子による画分の推定を行なった。はじめに、氷晶核計測装置を自作で構築し、2019年にテスト観測、2021年に本観測を実施した。それにより、夏季の富士山頂周辺の自由対流圏における氷晶核数濃度の特徴的な変動を明らかにすることができた。さらに、富士山表層堆積物の氷晶核としてのはたらきも評価し、表層堆積物由来の鉱物粒子と生物起源粒子が氷晶核数濃度に寄与していることを示す結果が得られた。
大気科学
自由対流圏高度での大気中氷晶核および生物起源氷晶核の観測は世界的に少なく、とくに東アジアにはほとんどない。本研究により、不足している東アジアでの上空データを補間できる点で学術的意義がある。また、氷晶核の観測データを得ることは、雲物理や降水形成への理解を進展させ、将来的に気象や気候の予測精度を向上させる点において社会的意義があるといえる。