研究課題
若手研究
本研究では、新生代地質体の最高被熱温度をより的確に推定するため、新生代石炭の非含水熱分解実験によって、炭化水素生成能力がVRr値の反応速度論的な変化に及ぼす影響評価を進めた。その結果、炭化水素生成能力が高い石炭ほどVRr値の変化が遅い傾向を示した。本研究によって、VRr値から新生代地質体、特に石炭層の最高被熱温度を推定するための有用な知見を得ることが出来た。
石炭地質学
エネルギー資源の安定確保は、最重要課題の一つである。東アジアの大陸縁辺域には新生代石炭が広く分布し、それらの石炭に伴う巨大な石油鉱床が数多く発見されている。本研究成果は、高い炭化水素生成能力を有する新生代石炭において、石油炭化水素の生成・排出が生じる温度や深度の解明に有用であり、より効率的な探鉱活動につながるものと期待される。また、本研究成果は、有機物(炭質物)を用いた高精度な地質温度計の構築にも有用であり、これまで未解明であった地質構造発達史の復元につながるものである。