表面に周期的なナノ構造を付与した伝熱面における蒸発現象について古典分子動力学法による数値解析と,実証実験を組み合わせて実施することにより,体系的な理解の獲得を図った. 微細狭隘構造であるナノスリット系を対象とした分子動力学解析を行った.その結果,構造特性や濡れ性が蒸発量や流体分子の蒸発経路に与える影響を明らかにした.また,実証実験においては電子線リソグラフィーを活用した約100 nmの表面周期構造を伝熱面に付与し蒸発に与える寄与を評価した.Wenzel状態におかれた液滴が微細構造から物理ピニングを受け,固気液三相接触線の長さの減少が抑制されるため,蒸発量が促進される実験結果を得た.
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