水素社会の実現に向けて、安全で実用的な水素漏洩モニタリングシステムを構築するには、高速な応答性、広範囲な多点計測、安定した長期計測が可能な水素センサが重要となる。現在、様々なタイプの水素センサが提案されているが、長期的な運用を目指す場合に必要となるセンサの劣化性能や耐久性に関する報告例は少ない。本研究では、無機化合物の水素感応物質である酸化タングステンが水素吸蔵合金特有の相転移を持たないことに着目し、長期的に運用可能な水素センサの開発を目指した。成果として、センサの応答速度に課題は残ったものの、酸化タングステンナノ粒子を用いることで応答性能の劣化抑制に繋がることを見出した。
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