研究課題
若手研究
豪雨や地震により地すべりが起こる可能性がある斜面に対し,斜面に生息する植生に電極を設置し,生体電位をモニタリングすることにより,地すべりの早期発見に資する「表層崩壊バイオアラーム」の開発を目的とした研究を行った.植生を含む一面せん断試験および模型斜面の加振実験の結果から,地盤のせん断 (=地すべり) が起こる際の土の強さと,せん断刺激を受け変動する生体電位の関係の定量化を行った.また,生体電位の変動から地盤のせん断強さを推定する手法を構築した.
地盤工学,防災地盤工学,環境地盤工学
本研究で開発した「表層崩壊バイオアラーム」は,将来的に山間地の植生に適用し,植生に設置された電位の変動をモニタリングすることで,自然の力 (植生のバイオセンサー機能) を活かして早期警報を発令し,斜面災害,特に表層崩壊による人的被害を軽減できる画期的な手法となり得る.加えて,「土のせん断強さの評価」という地盤工学的な観点と,「刺激による植生のバイオリズムの変動」といった植物生理学的観点を融合し,革新的な知見を見出したことが,本研究課題の学術的意義および新規性といえる.