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2020 年度 実施状況報告書

原水と凝集剤特性が凝集後残存する微小粒子の構成成分・物理化学特性に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 19K15127
研究機関中央大学

研究代表者

丁 青  中央大学, 理工学部, 助教 (70837476)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード膜ファウリング / メソ粒子 / ゼータ電位 / バイオポリマー
研究実績の概要

浄水処理で多用される凝集処理では、凝集後に残存する微小コロイド粒子(20 ~ 500 nm;メソ粒子と定義)の制御が課題となっている。本研究では、天然河川水中のメソ粒子画分を分離し、その物理化学的特性、凝集剤特性がメソ粒子の物理化学的特性に与える影響について検討する。
天然河川水を遠心分離・ダイアフィルトレーションろ過することで天然河川水中に含まれる「メソ粒子画分」を分離した。その後、元原水と同様な電気伝導度とアルカリ度までに調整し、市販の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)で凝集実験を行った。
天然河川水中の「メソ粒子画分」は、高分子バイオポリマー(BP)により構成され、pH5とpH7においては負に帯電することが明らかになった。凝集剤添加量の増加に伴い、残存するメソ粒子のゼータ電位はpH5では-15 mVから+20 mVに上昇した一方、pH7では-20 mVから-10 mVまでの上昇に留まった。凝集剤が過少添加条件には、残存するBPの濃度は低減過程にあり、メソ粒子のゼータ電位は両pHで添加量0 mg-Al/Lの場合と大きく変化せずに負電荷を帯びていた。このことから、過少添加条件に残存するメソ粒子の主成分は原水に元々存在した負電荷のBPであると考えられる。最適添加条件には、pH5では残存するメソ粒子が荷電中和され一方、pH7では負電荷のまま残存していた。更に添加量を増やした過剰添加条件には、pH5で残存するメソ粒子は正電荷(+ 20 mV)を維持していた。原水に存在するメソ粒子は負電荷であるため、正電荷を示すメソ粒子の主成分は凝集剤の加水分解後に残存したAlコロイドであると考えられる。しかし、pH7では過剰添加条件時も負電荷(-10 mV)を維持して残存しているため、中性付近の凝集pHでは添加した凝集剤自身が負電荷のメソ粒子を生成していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画において、天然河川水をサンプリングし、連続遠心分離によって1.0 μmの懸濁成分の除去、限外ろ過膜(孔径20 nm)を用いたダイアフィルトレーションろ過を行うことによって、メソ粒子より小さい成分を除去し、メソ粒子のみを含む「メソ粒子画分」を得た。さらに、塩化カルシウム二水和物、塩化ナトリウムを添加することで、元原水のような電気伝導度やアルカリ度を有する原水を作成できた。調整した原水を用いて様々な凝集剤でジャーテストを行い、生成するメソ粒子を分離・回収し、メソ粒子画分の有機/無機比、ゼータ電位を測定できた。これにより、原水中のメソ粒子画分が凝集後に残存するメソ粒子の物理化学特性に及ぼす影響の解明につながる。以上のことから、概ね順調に研究が進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今年度は、凝集剤由来の「メソ粒子画分」を分離し、凝集剤の特性が凝集後に残存するメソ粒子の物理化学特性に及ぼす影響を検討する予定である。また、これまでに得られた知見についてまとめて、学術誌にも発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初外部分析機関で依頼予定の凝集剤特性についての分析が遅れた。当初購入を予定していた試薬やメソ粒子を分離用の消耗品の購入費が少なく済んだ。

凝集剤特性分析を行う予定である。必要な消耗品(試薬・ガラス器具)の購入に支出予定である。また、現在準備中の英語論文の英文校正費に支出予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 凝集-膜ろ過における可逆的ファウリングに寄与するフロック特性の解明2020

    • 著者名/発表者名
      丁 青、濱田 祐綺、山村 寛、渡辺 義公
    • 学会等名
      第54回日本水環境学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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