研究課題
若手研究
静岡浅間神社に伝来する現社殿(重要文化財建造物26棟)の「江戸後期再建史料」の調査を実施した。なかでも駿府破損方による60余年におよぶ現場記録『御再建場所日記』に着目して調査・翻刻・分析を進めることで、再建工程の詳細や資材調達、駿府の役人組織、町方・村方の奉納人足としての参画について明らかになった。建築技術的な事項については、史料(古文書・大型古絵図)と建築の両面から検証を行うために、大型の社頭絵図及び社殿の再建設計図の高精度撮影を行い、建造物との比較研究が可能となった。
日本建築史
静岡浅間神社では、平成26年より平成・令和の大改修(重要文化財建造物保存修理工事事業)が進められている。江戸後期に再建された現社殿の造営関係史料を調査・分析をすることで、建築普請に関わる建築技術を検証し、保存修理事業に活かすことが可能である。駿府破損方による『御再建場所日記』は再建の現場記録ではあるが、天気、祭祀、駿府における種々の営みが記載されている。翻刻した基礎資料の多分野での共有を目指すことは、包括的に駿府城下町の基礎構造を解明する大きな手掛かりとなる。