本研究は、山岳信仰の対象:御嶽山・白山・立山に着目し、近世から現代に至る山小屋建築の形態とその変容を検討した。御嶽山では、近世後期より杣小屋や籠り堂と関連する平面形式がみられ、現在も継承されていることを明らかにした。白山では、近世前期まで石垣で囲まれた頂上社殿とその直下にある室・堂が核心的な山岳景観を形成したが、近世後期の平泉寺支配後に堂が廃絶し、室も淘汰されたことを把握した。立山では、近世は室堂のみが存在し、その特異な構造形式は積雪対策だけでなく加賀藩の威信を表徴した。明治には近世の登拝道沿いに茶屋が増設され、大正末には富山県が国立公園指定をめざし、山小屋を集中的に新設したことを把握した。
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