本研究では、熱電材料と電極の間にポイントコンタクトを形成して、構造観察とI-V計測を同時に実現できる透過型電子顕微鏡(TEM)その場観察用試料ホルダーを開発した。薄片にした熱電材料をホルダーに載せて室温から約200℃まで加熱でき、温度勾配による局所的な熱起電力を測定できる。原子スケールから100 nm程度のポイントコンタクトで接触するため、試料と電極の間に熱リークはほぼ無視でき、I-V計測から材料のサイズや結晶方位による熱電性能の違いを明らかにすることができる。この研究は高い熱電性能を持つ材料の開発、熱やフォノンを利用したナノスイッチング素子の開発などにつながる。
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