研究実績の概要 |
ナノプラズモニック・デバイス構築において、ナノ構造作製技術とプロセス設計は高性能・高精度なデバイス形成の鍵となる。金属ナノ粒子の化学合成に代表されるボトムアッププロセスや金属薄膜への微細加工などのトップダウンプロセスとそれらの組み合わせが多数報告されているが、大面積における20 nm以下の金属ナノギャップ作成は実現例に乏しい。本研究では、10 nm以下の間隙を持つ均一な金属ナノ粒子集合体を大面積で形成する作製技術の確立を目指す。特に、局在型プラズモン共鳴の基本ユニットとなる金属ナノ粒子とその間隔を制御した七量体構造は近赤外域の急峻な暗モードを持つ共振器になることから、金属ナノ粒子七量体の設計・作製に取り組んでいる。 40 nm厚 SiN/Si基板上にの長方形(長辺 200 nm, 短辺 150 nm)を正六角形の中心および頂点に配置した7量体テンプレートを前年度作製し、再現性のあるプロトコルを確立した。SiNテンプレート間隙にV字型溝を形成するために、水酸化カリウム溶液を用いたウェットプロセス条件の検討を行った。前年度の検討では確認されたV溝形成は再現性が認められず、プロトコルと基板材料の再検討を必要とする結論に至った。水酸化カリウム溶液の保持温度(40, 50, 60, 80℃)および時間(1, 2, 4, 8, 16 min) を変化させた条件で基板をエッチングを行い、電子顕微鏡による観察を行った。ランダムな逆ピラミッド型の孔形成が認められたが、テンプレートの境界に沿った異方性エッチングを確認することができなかった。パターン形成に用いたシリコン基板の選定に問題があった可能性が考えられる。
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