本研究では、5d遷移金属酸化物の代表であるイリジウム酸化物IrO2のスピン流物性を理解することを目的に研究を遂行した。アモルファスIrO2と強磁性NiFe合金を有する二層膜デバイスを作製し、スピン流物性評価を行った。その結果、IrO2はPtと同程度の高い電流-スピン流変換率を示した。この結果は、スピン流生成が特異な電子構造に起因することを示唆している。さらに、スピン流生成が二層膜デバイスの積層順序に大きく依存していることが明らかになり、デバイス設計の指針を得た。これらの結果は、5d遷移金属酸化物が新奇なスピントロニクス材料として有望であることを示している。
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