ウイルス感染症治療の現場では、いかに薬剤耐性を獲得させないかという視点からの創薬戦略が求められている。タンパク質主鎖との水素結合を駆動力とする酵素阻害剤の開発はこの課題に対するアプローチとして有効と考えられる。水素結合を指標とする評価系確立には複数の安定同位体を部位特異的に導入したタンパク質プローブが必須であり、化学合成法によるタンパク質プローブ調製が求められている。これら研究を進めるための基盤技術として、本研究ではAIDS治療薬の標的酵素のひとつであるHIV-1プロテアーゼの効率的合成法を開発した。
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