本研究で着目した現象と物質は植物の新たな繁殖戦略を物質レベルで明らかにできるものであり,重要な知見を提供できるものと期待する。植物には一つの花に雌しべと雄しべが共存する両性花,一つの株に雄花と雌花をつける雌雄異花,そして動物のようにメスとオスが別れている雌雄異株の形態が存在する。受精の効率,環境への適応性を考えると,どの形態も一長一短である。このような中,雌雄異株の形態をとったにも関わらず,受精の効率をあげるため矮雄という戦略をとったコケ植物の制御機構を明らかにできれば,植物の繁殖戦略と性分化の新たな概念を提唱できると期待できる。
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