本研究では、細胞内鉄濃度の変動が細胞増殖を制御する分子機構の手がかりを得ることを目的として、(1)細胞内鉄濃度の増減を蛍光強度に反映する、「FBXL5鉄レポーター細胞株」を樹立し、(2) それを利用してCRISPRライブラリーを用いた遺伝学的スクリーニングを行った。スクリーニングの解析結果から得られた遺伝子のリストを検討すると、上位および下位5%にそれぞれ入っている事が想定される既知の鉄代謝関連因子の多くが得られなかった事から、各種条件検討の必要性が示唆された。しかしながら、得られた候補遺伝子は、新規の鉄代謝関連増殖制御因子として今後細胞レベルで検討する価値のあるものである事が考えられる。
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