研究課題
若手研究
本研究では、イネの葉におけるショ糖合成の真の制限要因の解明を目的とし、ショ糖リン酸合成酵素(SPS)の5つの遺伝子の多重変異体を様々な環境条件で解析した。その結果、これまでの変異体の解析から葉身で主要に働くとされてきた2つのSPS遺伝子よりも、それ以外の3遺伝子が葉からの転流に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。ショ糖合成の真の制限要因を明らかにするためには、SPS遺伝子の生理的分業について詳細に解析する必要があることが示された。
作物生理学
作物の葉におけるショ糖合成は、転流効率の制御を通じて作物の生産性に重要な役割を果たしている。本研究によりイネの葉におけるショ糖合成能の制限要因について、これまで想定されてきたSPS遺伝子よりもむしろ別のSPS遺伝子のほうが重要な可能性が示唆された。本研究で得られた知見をもとにイネの葉のショ糖合成能の向上にむけた研究が進むことで、ショ糖合成をターゲットとしたイネの品種改良、ひいては生産性の向上につながることが期待される。