植物を食べる昆虫は優れた味覚を用いて特定の植物(宿主)のみを選択的に摂食することができる。昆虫の味覚システムを解明することは、カイコがなぜクワを食べるかといった昆虫-植物間の特異的関係を詳らかにするだけでなく、害虫管理等に対する貢献が期待できる。本研究はカイコのイオノトロピック受容体について味覚器官での発現を明らかにし、IR8aを共受容体として利用するIRはカイコのクワ認識に寄与しないことを示唆する結果を得た。今後のさらなる研究によって、味覚だけで特定の植物を認識してしまう昆虫の能力の分子的・神経的基盤が明らかになると期待される。
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