マツノザイセンチュウを病原体とするマツ材線虫病は、マツ類樹木に枯死を引き起こす深刻な樹木病害であり、防御応答の過剰誘導により樹木全体が枯死すると考えられている。近年、線虫病原因子の候補が徐々に明らかとなってきているが、分子機能解析手法の不足により病原因子の特定には未だ至っていない。私たちは本研究課題において、木本類への外来遺伝子発現を可能にするウイルスべクターを利用して、線虫病原候補タンパク質をクロマツ種子の胚に一過的に発現させる系を確立した。確立した手法を用いて試験した結果、3種の線虫由来分子(ソーマチン様タンパク質及びGH30)が、マツ種子胚に対して防御応答を誘導することを明らかにした。
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