近年、国内の農場ではBLV感染が拡大しており、日本国内の35%以上のウシがBLVに感染している。BLV感染の蔓延に伴い牛伝染性リンパ腫の発生も急増している。牛伝染性リンパ腫は届出伝染病に指定されており、その発生数は過去21年間で42倍に増加した。腫瘍を発症したウシは淘汰(全廃棄)の対象となるためその経済的被害は大きい。しかしながら、BLVに対する有効なワクチンや治療法は存在しないため、新規制御法の開発が求められている。本研究で開発した免疫抑制受容体を標的とした治療用抗体は、免疫活性化によって抗ウイルス効果を発揮することができ、BLVが国内に広く蔓延した現状を打破する新規制御法として有望である。
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