ウシ乳房炎は酪農業において経済的損失が最も高く、動物福祉の観点からも制御することが重要な感染症である。本研究において常在細菌叢の代謝産物(アミノ酸)に着目した乳腺感染の制御についての知見は乏しく、その成果が期待されている。乳腺環境におけるアミノ酸の免疫応答に関する役割については、十分には明らかにされていないが、アミノ酸による免疫担当細胞の機能修飾を明らかにすることで、乳腺感染に対する理解をさらに深めることができると考える。これらは、ウシ乳汁の生理学的解明にとどまらず、乳房炎の新規制御技術の構築にもつながることが期待され、畜産学・応用獣医学領域に貢献できるものである。
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