牛伝染性リンパ腫(BL)はレトロウイルス感染によって起こるウシのB細胞性リンパ腫であり、感染牛の約1~5%のみが発症へと至ることが知られているが、その詳細なメカニズムは明らかでない。本研究では、宿主の突然変異誘導酵素である活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)に着目して、臨床検体および細胞株を用いてAID発現量および変異誘導に関わる活性を解析することで、BL発症とAIDとの関連性を検証した。その結果、両者に明瞭な関連は認められず、腫瘍形成におけるAIDの関与性は低いことが示唆された。一方、解析の過程でBL発症には癌関連遺伝子上のCpG部位への変異導入の影響が大きいことが明らかになった。
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