研究課題
若手研究
脊椎動物においては、卵巣はそれ自身が内分泌器官として卵胞成長を制御することがわかっているが、脊索動物に最も近縁な無脊椎動物であるカタユウレイボヤにおいては卵巣自身の内分泌機構は未解明であった。本研究成果によって、ホヤの卵巣は組織特異的なペプチドホルモン様遺伝子を発現している事が明らかになった。また、質量分析計によってペプチドを同定することに成功し、卵巣特異的な機能を持つ事が強く示唆された。
比較内分泌学、生殖内分泌学
脊椎動物とは異なり、ほとんどの無脊椎動物は開放血管系で循環器系が未発達であることから、卵巣を含む末梢器官は中枢神経系からの軸索投射によって直接制御されると考えられてきた。本研究の成果によって、無脊椎動物であるホヤの卵巣はペプチドホルモンを合成・分泌し、中枢神経系による制御系に加えて卵巣自身による内分泌制御系が存在することが強く示唆された。本研究により、内分泌器官としての卵巣の機能および進化の道筋を解明する上で重要な知見を得ることができた。