本研究では、視聴覚統合による物体認識に重要な脳内機構を解明することを目的とし、げっ歯類およびコウモリを対象に、複数の部位の光学計測、電位計測実験を行った。その結果、コウモリの聴覚野では、エコーロケーション音に対して、広範囲で活動することが明らかになった。一方、スナネズミにおいては、種特異的なコミュニケーション音声を提示しても、活動の広さに変化は生じなかった。さらに、コウモリの網膜地図は、マウスやスナネズミなどと同様であることが明らかになった。この結果から、視覚の基礎的な情報処理は、他の動物と同様であるが、聴覚野におけるエコーロケーション音の処理機構においては特殊化されていることが示唆された。
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