研究課題
若手研究
前端部神経外胚葉近隣のGo-opsinが光を受容することで前端部神経外胚葉からセロトニンが放出され、ウニ幼生の幽門が開口される一連の流れが明らかになった。また、幽門開口にはセロトニンだけでなくアセチルコリン神経も関与し、そのバランスによって開閉がコントロールされていることが示唆された。本研究成果は、ウニ前端部神経外胚葉が脳として機能している証拠を示すと同時に、後口動物の共通祖先ですでに、脳やその周辺の神経系が、腸管の機能を制御していた可能性を示すものになった。
進化発生学
本研究は棘皮動物における脳の存在およびその腸管への機能を実験的に示したものであり、脊椎動物などの後口動物における脳の起源と進化を考える上で、重要な研究成果になった。また、光刺激がウニ幼生の脳を介して腸管の機能に影響を与えていることが明らかになったように、我々ヒトにおいても光などの外部環境と腸管機能の間には未知の関係性が存在することが強く示唆され、本研究成果をきっかけに、ヒトの健康維持に貢献できるアイデア等が生じることが期待される。