被子植物の進化には、花形態の多様化が大きく関わっていると考えられている。本研究では、花形態の左右相称性に着目し、訪花頻度に応じて、左右相称性と放射相称性がスイッチするのではないかと考えた。研究より、同種内の11集団間で左右相称性に有意な違いはみられなかったものの、訪花頻度が低い集団では雄しべと雌しべの接触時間が長くなり、種子数の増加とバラつきが小さくなる傾向が見られた。このことは、訪花頻度が自然選択となり花の開花特性が変化することで、被子植物が環境に応じて自殖と他殖の割合を調整している可能性を示唆し、繁殖戦略のパラドックスと考えられてきた自殖と他殖を両立するしくみを解く鍵となる研究になりうる。
|