本研究では、東南アジアに生息するアシナガシロアリを寄主とする好白蟻性昆虫(ハネカクシ・シミ・クロバネキノコバエ)を対象にミトコンドリアゲノムを用いた系統解析と分類学的再検討を行った。好白蟻性昆虫は一般的に寄主シロアリと種特異的に関わるため、同じシロアリを寄主とする好白蟻性昆虫は、同様の分布拡大や地史的イベントを経験していると考えられるが、系統解析の結果、好白蟻性昆虫は分類群ごとに遺伝子の変異率や形態の多様化の程度に大きな差が見られることがわかった。また、系統解析と形態観察の成果に基づき、対象とした好白蟻性昆虫には、複数の未記載種が含まれることが明らかとなった。
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