新世界ザル色覚やショウリョウバッタ対捕食者シグナル発信行動では、雌雄差と同性個体差が維持されている。これら多様性がどのような仕組みで維持されているか仮説を立て、数理モデルを用いて仮説の妥当性を検討した。新世界ザルは、もともとは赤と緑を区別できる個体が採餌で有利だが、赤と緑を区別しない個体も状況学習により最終的には同程度の採餌ができるようになるという仮定の下でモデルを分析し、フィールドデータと矛盾しない結果を得た。ショウリョウバッタでは、シグナルが発信者自身の被捕食率だけでなく近隣個体の被捕食率も下げる効果がある場合に、シグナルを発信する個体としない個体が共存しうることを示した。
|