様々な有機化合物に遍在するC(sp3)-H結合を遷移金属触媒により直截的に官能基化する反応は,アトムエコノミー・ステップエコノミーに優れた有用な手法である.しかしながらこれまでの報告は,金属や超原子価ヨウ素,過酸化物等の酸化剤を当量以上用いており,安価な試薬を用いた廃棄物を出さない新規化学プロセスの開発が求められている.今回申請者は,銅と酸素分子から形成される copper oxo 錯体を用いることで,分子状酸素を酸化剤としたC(sp3)-H結合官能基化による新規複素環骨格構築法の開発を行い,3-ヒドロキシイソインドリノンやベンゾラクトンが合成できることを見出した.
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