研究課題
若手研究
チロシンキナーゼ阻害剤は標的分子への選択性が高い分子標的薬として知られるが、受容体チロシンキナーゼにほぼ共通するATP結合部位に結合するため、チロシンキナーゼ間での選択性はあまり高くない。そのためリガンドとタンパク質の選択性を高める観点から化学遺伝学(ケモジェネティクス)に着目し、野生型受容体のみ阻害し、変異型受容体は阻害しないリガンドの開発研究を実施した。その結果、複数のGタンパク質共役型受容体(GPCR)に対して上記のリガンドを見出すことに成功した。
ケミカルバイオロジー
リガンドの標的タンパク質への選択性を高めることは、細胞や生物個体のような多様なタンパク質が存在する環境中で特定タンパク質の機能を制御することを可能にするため、脳機能のような複雑な生命機能の解明につながる。また、リガンドの標的タンパク質への選択性の向上は薬の薬物標的への選択性の向上につながるため、創薬の観点からも重要な知見であると言える。