研究課題
若手研究
テトラゾラト架橋白金(II)二核錯体(テトラゾラト架橋錯体)は、数種のがんに対して抗がん効果が認められることから、次世代白金製剤としての開発が期待される。本研究では、テトラゾラト架橋錯体のがん細胞内/外への輸送に、それぞれ有機カチオントランスポーター/Na, K-ATPaseが関与していることが分かった。また、大腸がん治療薬オキサリプラチンに耐性を示すヒト大腸がんHCT116細胞を新たに樹立し、テトラゾラト架橋錯体およびその誘導体がオキサリプラチン耐性を克服することを明らかにした。
生物無機化学
オキサリプラチンを含む白金製剤を用いた治療では、反復投与によって生じるがん細胞の耐性によって治療法の選択肢が狭められることが問題となる。本研究では、オキサリプラチン耐性がん細胞にも有効なテトラゾラト架橋錯体の創出において、さらなる構造最適化をする上で有用な知見が得られた。また、テトラゾラト架橋錯体は慢性毒性が軽度であることがすでに明らかにされているため、本研究の成果が多くの臨床的利点を兼ね備えた次世代白金製剤の創出に貢献することが期待される。