研究課題
若手研究
本研究では、大麻の主要活性成分であるΔ9-THCを親マウスに反復投与して、その後に交配して産まれた、第二世代マウスにおける影響について検討した。その結果、薬物を直接摂取していない第二世代マウスにおいても、自発運動量の低下や、感覚情報処理機能の障害が認められた。Δ9-THCが作用する、カンナビノイドCB1受容体を遺伝的に欠損させたマウスでは、第二世代マウスにおける自発運動量の低下がみられなかったことから、CB1受容体が高次行動への影響に関与している可能性が示唆された。
神経精神薬理学
昨今の社会情勢において、大麻/マリファナは最も注目度の高い依存性薬物であるが、諸外国では「医療用」としての使用のみならず、「嗜好品」としての使用も一部の国では許可されている。我が国においては、大麻は依然として規制薬物であるが、近年は大麻の乱用が著明に増加している。このような社会情勢を鑑みて、本研究において検討した薬物を直接摂取していない第二世代マウスにおける影響について啓発することは、大麻乱用を予防するための社会貢献の観点からも、非常に重要であると考えられる。