研究課題
若手研究
本研究では.真菌の一種である担子菌類,すなわちきのこの有する多様な二次代謝産物の獲得とその生合成に関わる生合成遺伝子を用いた新たな化合物の創出を目的として,真菌類の代謝物としては珍しいオレアナン型トリテルペン類に着目し代謝物の構造解析および生合成遺伝子の探索を行なった.その結果,コルクタケ Fuscoporia torulosaの子実体より,2種の新規化合物を含む11種の化合物を単離するとともに,コルクタケのゲノム遺伝子ライブラリーを構築しその解析を行なった.
天然物資源系薬学
古来より植物やきのこなどの天然物は薬用資源として利用され,現在の創薬の基礎となっているが,本研究においてコルクタケより単離された新規化合物についても創薬資源や研究試薬としての発展が期待される.また,本研究で樹立された菌株の培養物を分析した結果,これまで真菌類では生合成が確認されていなかったβ-amyrinが検出された.これまでの通説を覆す結果が得られたことから今後さらなる遺伝子情報解析により期待される新規生合成遺伝子の発見が多様な創薬資源の獲得につながると考えられる.