本研究により、細菌性髄膜炎に対するバンコマイシン (VCM)の微生物学的有効性に、薬物の脳移行を制御する血液脳関門の透過性の変動が関与する可能性が示された。初期の抗菌薬治療の失敗が予後の悪化を招くと言われる細菌性髄膜炎の治療において、治療開始前の検査結果よりVCMの脳移行性を予測し、治療に活用することで細菌性髄膜炎の予後の改善につながる可能性がある。今後はVCM以外の薬物についても同様の検討を行うとともに血液脳関門の透過性の変動を簡便に予測できる血液マーカーについてさらなる検討を行うことで、脳における薬物の有効性や安全性の向上につながる可能性がある。
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