研究成果の概要 |
本研究では低侵襲性に入手可能な末梢血単核球を疾患層別化に活用すべく, 末梢血単核球の応答プロファイルの有用性評価を目的とした。末梢血単核球に対し炎症刺激を施した際のオミクスデータをデータベースより入手し, 年齢の違いを対象に解析した。独自教師なし解析手法により, 年齢と相関し, かつ既存生物学的知見と対応する遺伝子群の抽出に成功した。対象データには臨床情報が付帯されておらず, そのような共変量を用いずとも教師なしに分離できた点は特筆に値する。一方発現プロファイルの場合は, 年齢と相関する遺伝子自体は見つけられたものの, その数は少なく遺伝子群としては既存知見と対応しなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
末梢血単核球は低侵襲性に入手可能であり, 患者の状態を記述する重要な情報を包含していると考えられる。一方, 臨床検体は一般に認知されない交絡を多く含み, 疾患に由来する生物学的情報がそれ以外の情報に埋もれてしまうことが多い。刺激に対する応答プロファイルは, 発現プロファイルよりも生物学的差分が強調され, 交絡の多い臨床検体でも頑健な層別化が可能になると期待される。本研究では上記概念の実証の一環として, 公知データを用いて年齢を層別する遺伝子群の検出力を応答プロファイルと発現プロファイルとで比較し, 仮説を支持する結果を得ることに成功した。
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