抗がん剤は副作用として重篤な肺障害を誘発する場合があり、障害を受けた正常な肺胞上皮細胞が上皮間葉転換(EMT)を経て形質転換することが原因として考えられている。しかしながら、抗がん剤によるEMTの誘発機構に関する研究は乏しい。本研究では、抗がん剤誘発性EMTに特異的に関与する分子の特定を目的に研究を行った。 本研究の成果として、Nrf2, ITGA2およびp53といった複数の因子が抗がん剤メトトレキサートによるEMTに深く関与することを見出した。特にp53は、MTXによる抗がん効果には影響を及ぼさなかったことから、MTX誘発性EMTに特異的な因子として今後の展開が期待される。
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