私はプロバイオティクスの培養上清を膵癌細胞に処置し、麹菌の培養液に強い抗癌作用があることを明らかにした。この培養上清をHPLCにより分画化し、質量分析解析及びNMR解析によりその作用を仲介する分子がHeptelidic acid(HA)であることを明らかにした。HAは膵癌細胞に対して細胞周期の異常および細胞死の誘導を引き起こすことで抗腫瘍効果を発揮していることを明らかにした。また、HAは消化管を透過し遠隔臓器に直接的に作用することで抗腫瘍効果を発揮しうることを実証した。本研究により、プロバイオティクスが多種多様な癌に対して作用を発揮しうること及びその作用メカニズムの一端を明らかにした。
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