IL-10の心保護作用は動物実験レベルでは数多く報告されてきたが,ヒト心筋細胞及び脂肪細胞を用いた実験はこれまでになかった。本研究ではiPS由来ヒト心房筋細胞及びヒト心外膜脂肪由来前駆脂肪細胞を成熟脂肪細胞に分化させたものを用いてIL-10の心筋細胞への心保護効果を直接的及び間接的(心外膜脂肪のパラクライン効果を改善することで)に証明できた。マウスやラットの心外膜脂肪量は極めて少なく心筋へのパラクライン効果を調べるには適していないことが知られている。本研究はヒト組織及び細胞を用いた研究であり,より臨床に即している点で意義がある。
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